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野党合同ヒアリング、進め方に工夫を凝らしつつ、もっと回数を増やせ

野党合同ヒアリングは政治の透明性や公開性を高める絶好の場

ネットで「野党合同ヒアリング」をググルと批判が多そうに見える。「官僚いじめ」、「パワハラ」、「野党のパフォーマンス」という言葉が並ぶ。立憲の辻元議員も反省すべき点があると述べたと報道されていた。

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2018年5月9日『加計学園「首相案件」問題』野党合同ヒアリングの風景

野党合同ヒアリングは、自民、公明の与党が数の力で国会における野党の質問時間をカットしたことに対し、野党が発見した対抗策とも言える。だから、もっと有効に活用する方向で検討すべきだろう。野党は政権与党の政策や行政をチェックする役割を担っており、合同ヒアリングは野党としての当然の取り組みと言って良いのだ。

税金で給料が払われている官僚が、国民から選ばれた野党議員の調査要求に応じず、質問にも答えず、ましてや虚偽の答弁をしたら追及されるのは当然のことであり、それを「官僚いじめ」、「パワハラ」と判断するのは与党議員でも野党議員でもマスコミでもない。国民だ。給料を負担している官僚のトップたちの仕事ぶりをつぶさに観察できるのが野党合同ヒアリングの場なのだ。

だから、野党合同ヒアリングの様子をマスコミはもっと報道して欲しいし、野党はもっと報道されるよう進め方に工夫を凝らし、ヒアリングの回数を増やす努力をすべきだ。

進め方の工夫とは簡単だ。最初と最後をきちんと締めれば良い。最初は今も行っているような「各府省への要請事項」の書面をもとに、前回の合同ヒアリングや今回のヒアリングに先立って要求した事項を一つひとつ官僚に対して確認する。

そのためには合同ヒアリングの内容ごとに担当議員を2名ほど決めておくことだ。担当議員が進行役となって議事を進める。進行役が曖昧だと散漫な議論に陥る。加えて要求事項ごとに要求した日付を入れておくことも重要だ。

最後は議論の中で官僚が持ち帰って検討すると約束したことを回答時期と併せて確認する。最後の確認のない会議は、情報共有の場でない限り、無意味な会議である。確認事項や新たな課題などは秘書にまとめてもらえば良いだろう。進行役の議員席の横に書記担当の秘書席を用意し、「書記」の札を配置するだけでも場の雰囲気は引き締まる。あとは今の一時間という長さをそのまま維持するだけだ。

議事録は各野党なり国会議員のサイトに「合同ヒアリングニュース」として掲載する。野党合同で専用サイトを開設してもよい。ニュースリリースとしてマスコミ各社に配布することも必要だ。

合同ヒアリングは儀式の場としての国会審議から脱却する有効な手段

国会審議は直前に提出された野党の質問書に対して、徹夜で官僚が答弁書を用意し、担当大臣が読み上げる儀式という側面がある。採決のための儀式ということだ。国会審議を儀式、合同ヒアリングを儀式に至るまでの野党側のプロセスと明確に位置づければ、直前の質問書の提出も徹夜の答弁書作成もなくなる。官僚に徹夜で答弁書を作成させておきながら「働き方改革」を議論している国会は、国民に対する茶番の舞台でしかない。「隗より始めよ」の勉強からやり直した方がいい。

国会審議では担当大臣が審議案件についてまったくの無知もしくは勉強不足という醜態をさらけ出してしまうことも多いし、基本的な国語能力が問われることもある。説明にもなっていない同じ内容の答弁を繰り返することが「丁寧な説明」と勘違いしている総理もいれば、法案の解釈論議を「そうは思わない」で済むと考えている大臣もいる。儀式だからそれで済むのかもしれないが、儀式がゆえに面白くもない。

それに対して野党合同ヒアリングは答弁書を用意する側の官僚に直接聞くため、やりようによっては面白くない儀式を脱却し、政治が進む様子や判断基準など政治の実態を国民に分かりやすく見せることが可能である。法案審議においても与党議員には事前に官僚による説明があるが、野党議員にはない。合同ヒアリングはその与党と野党との大きな非対称性を解消する手段にもなりうる。もちろん法案審議においては野党がいたずらにヒアリングの回数を重ねないよう何らかの歯止めが必要だ。

安保法制は「そう思う」、「思わない」の連発で決まったところがあるが、官僚はそのような稚拙な答弁はしないはずだ。

合同ヒアリングの出席官僚は各府省の代表者

合同ヒアリングに対して課長クラスを呼んでいるため意味がないとする批判があるし、ヒアリングでも「私のレベルでは答えられない」と言っている場面がある。しかし、これはおかしなことだ。企業間交渉の場でこのような発言が飛び出したら大変だ。「だったら答えられる人間を連れて来い」で交渉は終了し、「二度とあんバカを寄越すな」と言われるだけだ。もしくは言うだけだ。当然のことながら交渉の場の出席者は、肩書がどうであれ、組織の代表者として出席するのだ。

優秀な官僚はもちろんそのことを十分に理解しており、それでも「私のレベルでは答えられない」と言うのは単なる逃げである。それに野党議員は理解を示してはならない。だったら答えられるレベルの人間の出席を約束させるか、持ち帰らせて府省としての統一見解をいつまでに回答するのか追及すれば良いのだ。

 烏合の衆では一強の与党や巨大な官僚組織と対峙できない

いずれにせよ合同ヒアリングにはテレビカメラが入っているのだから、報道回数が増え、注目が集まるようになれば、官僚の不誠実な対応やそれに対する野党議員のテーブルドンや怒号などの下品攻撃も減っていくはずだ。

 「国会は議論する場」だそうだから、野党合同ヒアリングは議論の機会を増やす絶好の場だ。企業でサラリーマン生活を過ごしてきた立場から野党議員を観察していると、総じて組織戦が苦手なようだ。例外は組織活動の叩き上げである共産党の議員ぐらいかもしれない。国費で負担可能な秘書が3人であるため、議員を含めて総勢4人の零細組織。しかも地方議員は3人の秘書を地元と議員会館内の事務所に割り振る必要がある。そのような零細組織を「一国一城」と呼ぶのかはなはだ疑問だが、その親分が国会議員であり、親分の烏合の衆が政党だ。烏合の衆だから簡単に離合集散する。子分である秘書の育成など考えたこともなく、親分自ら組織の一員として動くことも、動かすことも苦手なのが国会議員だ。それを強く意識すれば、野党合同ヒアリングはより中身の濃いものになるかもしれない。

烏合の衆では、勝手に自滅しつつある与党にすら対抗できない。