I don't think so !

じゃあ、お前はどう考えるのだ!

海王丸と富山湾の曇り空

新手の護送船団方式「官民一体のデータ改ざん」―このままじゃ日本がダメになる

止まらない改ざんの連鎖

財務省の決裁文書改ざん問題が表面化したとき「またか」と思ったのは私だけではないだろう。東芝原発事業に関わる不正会計処理が発覚したのは2015年、それから三菱自動車の燃費データ改ざん、日産、スバルの無資格検査問題が表面化する。我が家の日産エクストレイルも該当車だが、残念ながら1枚の手紙、1本の電話、1言のお詫びもなかった。問題発覚から数か月後の定期検査のときディーラーの営業に問い質したところ「法定点検を終了しているので問題ない」と素っ気ない反応だった。何でもディーラーの点検の方が工場の検査より厳密であり厳格だからだそうだ。やれやれ。

工場における検査が意味のないものなら、どうしてそのような検査が自動車業界には残っているのだろうか。戦後の護送船団方式の名残かも知れない。護送船団方式は、金融業界を中心に、監督官庁が主導して業界内の利害調整や行政指導により日本経済をけん引してきた日本独自の社会主義的経済政策だ。戦後の混乱期や高度成長期には有効だったもかもしれないが、それが結果として企業の自主性や独自性を奪い、官依存の体質を生み出したようである。なぜ、自動車業界は意味のない検査を横並びで続けているのか、なぜ、日産は顧客には謝らずに石井国土交通大臣に謝りに行き、国交省から厳しく叱責されたのか。意味のない検査を巡る不思議な光景だ。何か裏があるのだろうか。

さて、さらに東洋ゴムでは免震ゴムの検査データ改ざんに端を発し、防振ゴムなど芋づる式にデータ改ざんが明らかとなり、神戸製鋼所も同じように品質データの改ざんのオンパレードとなる。神戸製鋼所の場合は執行役員が知っていたとのことだから、文字通り組織ぐるみの改ざんが長年の習慣として行われていた。

続いて三菱マテリアルの検査記録データ改ざんや東レの品質データ改ざん問題。東レの場合は、データは改ざんしたものの安全性の問題がないため、神戸製鋼所の問題が表面化しなかったら公表しなかった可能性が大きいと報道されていた。「公表してやったことを有り難く思え」ということだろうか。だから榊原経団連会長は本年5月までの会長任期を全うする。安全性への影響の大きさではなく顧客と約束した品質を守らなかったという事の重大性を認識していないようだ。というか顧客との約束は守らなくても良い、ばれても安全基準はいくらでも変えられる、という意識なのだろう。まるで中国企業のようだ。

そして真打登場が榊原会長とお友だちの安倍総理だ。肝入りの働き方改革では厚生労働省が労働時間の調査データを改ざんして、改ざんデータをもとに法案を作成し、森友問題では財務省が土地取引にかかわる決裁文書を改ざんして、改ざん文書で1年間国会での議論に時間を費やした。榊原会長と同じように安倍総理も責任を取る気配はまったくない。

政府系金融機関商工中金においても、アベノミクスの評価に関わる毎月の経済統計調査データを調査せずに架空の数値を報告していた。改ざんすべきデータすらなかったわけだ。日本政府発表の経済統計の信頼性を根底から揺るがすものだ。

即刻責任を取ること、取らせることこそ最大の不正防止策であり、日本が生き残る道

今や日本企業も日本政府も世界から信頼を失いつつある。しかも信頼を失うような行為にかかわった人間が責任をとることなく居座っている。 

居座る理由が「不正が起きた原因を徹底的に究明し、二度と起こらないよう対策を講じることこそが私の責任だ」というものだ。しかし残念ながらこれはまったく成立しない。当事者だからできるわけないのである。

それよりもたとえ混乱が生じてもスパッとやめること、もしくはやめさせることだ。これこそが最大の原因究明につながり、再発防止策となるのだ。こんなことは道の理だろう。おおよそ企業や政治の世界では「余人をもって代え難し」はあり得ない。それが成り立つのなら日本の企業も政府もはるか昔に崩壊していたはずだ。代替えとなる人材はいくらでもいる。

大切なことは「不正をすると責任をとらされる」社会にすることだ。契約社会の欧米では締結した契約は愚直に守ろうとする。契約違反をすると莫大な損害賠償や請求が発生するからだ。企業は簡単にふっとび、首も簡単にふっとぶ社会なのだ。株価の下落を招くような行為は絶対に許されない。

それに引き換え日本はどうだろう。なぜ不正の連鎖に歯止めがかからないのだろうか。

もちろん責任者が責任を取らなくて良い社会だからだ。本来、責任者が高額な収入と高い名声を得るのは責任を取るからではないのか。総理や経営者が安穏とゴルフをしていられるのは、いったん事が発生すると責任を取るからだ。責任を取らないのなら、単にゴルフで遊んでいるだけだ。

日本においては護送船団を守ることができるのであれば不正すら黙認されることが、この一連の不正連鎖の中に見て取ることができる。しかし不正が誤魔化しになるとどうだろうか。船底に穴が開いて浸水しているのに、浸水していませんと誤魔化しているとやがて沈んでしまう。

偽装、隠ぺい、改ざん、捏造を繰り返している日本の護送船団に寄港を許可してくれるのは、このままではもうすぐ中国ぐらいになってしまうだろう。ただし、中国までたどり着ければの話だが。